理事長挨拶

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理事長就任のご挨拶

2022年10月

理事長 写真

一般社団法人 日本神経免疫学会 理事長
東北医科薬科大学医学部 脳神経内科学 教授
中島一郎

この度、前理事長の藤原一男先生のご定年に伴い、後を継ぐ形で理事長を拝命いたしました。身に余る光栄と存じます。私自身は本学会の理事に就任してまだ4年ほどしか経っておらず、どちらかと言えば新参者に近いのですが、多くの先生方に支持いただいて理事長職を任されたということは、そこに大いなる期待が込められているのだと理解しています。私はこれまで20年以上にわたり多発性硬化症や視神経脊髄炎の病態解明のための基礎研究や臨床研究に勤しんできましたが、この20年で両疾患を含む免疫性神経疾患の概念や治療法は劇的に変化しました。そこには本学会の会員の先生方の多大なる貢献があり、本学会に所属する多くの専門家がその変化を牽引してきたという自負があります。本学会は会員数が700人に満たない小さな学会ではありますが、非常に専門性が高いが故に少数精鋭が集まっており、仲間意識が非常に強く、切磋琢磨しながら世界に目を向け、共同研究などの協力を惜しまない雰囲気が多くの成果と業績を生み出した要因になっていると考えます。

本学会が対象とするのは、自己免疫を主な病態機序に持つ神経疾患および筋疾患であり、具体的には、多発性硬化症、視神経脊髄炎、重症筋無力症、HTLV-1関連脊髄症、クロウ・深瀬症候群、炎症性筋疾患、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、多巣性運動ニューロパチー、アトピー性脊髄炎などの指定難病や、ギラン・バレー症候群、自己免疫性脳炎、MOG抗体関連疾患、急性散在性脳脊髄炎、自己免疫性自律神経障害、膠原病などの内科的疾患に伴う神経疾患、腫瘍随伴症候群としての神経筋疾患、医原性(薬剤性)の神経筋疾患、などが含まれます。これらの疾患の病態解明のための基礎研究を促進し、治療法の開発のための臨床研究を推進して創薬に繋げるのが本学会の使命と考えます。また、近年アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の疾患修飾薬に抗体療法や抗炎症療法、免疫療法などの可能性が高まっており、免疫性神経疾患で培った研究手法が役に立つと思われ、原因不明の多くの神経難病も今後対象疾患に加わる可能性があります。

新理事長としての抱負は在任中にひとりでも多くの会員を増やしたいということです。様々な自己免疫疾患において抗体医薬や分子標的薬の適用が承認されるようになり、患者マネジメントに知識のアップデートが毎年のように必要になり、これまで以上に専門性が求められる時代になりました。年々増加するすべての自己免疫疾患の患者さんが日本のどこにいても最適な治療が受けられる状況にするには専門医や専門的知識をもつメディカルスタッフをより多く養成する必要があります。脳神経内科医のみならず、初期研修医やメディカルスタッフにとっても魅力的な学術集会を開催することで神経免疫学に興味を持っていただき、会員数を増やせればと思います。

最後に、本学会の公式ジャーナルは、Clinical and Experimental Neuroimmunologyという英文誌になります。本誌を一流のジャーナルに育てることも重要な使命と考えます。関連する企業の皆様におかれましては、本学会への更なるご支援と、ジャーナルへの論文投稿をお願いいたしたく存じます。何卒よろしくお願いいたします。